平成21〜22年度 |
研究課題名 A01-K4 | XAFSによるエアロゾル中の元素の化学種解析:カルボン酸錯体の生成や鉄の溶解性 |
研究代表者 | 高橋 嘉夫 | 広島大学 理学系 |
研究概要 |
エアロゾルや黄砂は、大気中を長距離輸送される途上で様々な化学反応を受け、地球表層環境に多様な影響を与えている。本研究では、放射光を用いたX線吸収微細構造法(XAFS法)により、様々な元素の化学状態を丹念に調べることにより、黄砂に含まれる元素が長距離輸送途上で受ける化学変化を様々な観点から研究する。
(i) カルシウムのジカルボン酸錯体:XAFS法を用いることで、1 μm以下のエアロゾル中のカルシウム(炭酸カルシウム)がシュウ酸などのカルボン酸と錯生成する可能性を明らかにし、その形成プロセスを解明する。
(ii) 鉄の溶解性:海洋への鉄の溶解性は、エアロゾル中の鉄の化学種により異なると考えられ、XAFS法によって、海洋エアロゾルなどに含まれる鉄の化学種の直接評価を行い、鉄の溶解性との関係を調べる。
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研究課題名 A01-K5 | 気球搭載ライダーによる海上での成層圏、対流圏エアロゾルと海洋表層有機物の観測 |
研究代表者 | 榊 直人 | 青山学院大学 理工学部 |
連携研究者 | 和田 智之 | 理化学研究所 |
| 篠野 雅彦 | 海上安全技術研究所 |
研究概要 |
海洋環境の雲、エアロゾルは放射収支の影響を与え、海洋中の生物の生育環境に影響を与えている。
また、海洋中の植物プランクトンの排出物質がエアロゾルになるなど、海洋の大気、海洋環境は互いに密接に影響を及ぼしあっている。
海洋大気環境を理解するためには広範囲にわたって雲やエアロゾルの3次元分布を調べる必要があるが、広範囲に調べられるのは衛星による観測に限られ、また衛星観測でも鉛直方向の分解能は十分でないことも多い。
鉛直分布を調べるためにはライダーが必要である。
本研究では気球にライダーを積み、飛翔させて、成層圏下部から対流圏にわたって海洋上空の雲、エアロゾル分布の鉛直構造と海洋表層の植物プランクトンを同時に観測し、それらの相関を調べる。
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研究課題名 A01-K6 | 北西太平洋域における黄砂粒子量の衛星観測 |
研究代表者 | 福島 甫 | 東海大学 開発工学部 |
研究概要 |
本研究の第1の目的は、北太平洋域の黄砂エアマスについて、衛星観測による大気中の黄砂量(カラムあたりの濃度)の空間分布を推定する手法を確立し、その精度を評価することである。
第2の目的は、得られる黄砂量空間分布を使いやすい形でA04班の「物質輸送モデル」に提供し、「黄砂の海洋への降下量推定」に役立てることである。
さらに第3の目的として、1年間もしくは多年にわたるSeaWiFSおよびMODISデータを処理し、可能な限り衛星観測に見られる黄砂量の年々変動を明らかにすることを設定する。
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平成19〜20年度 |
研究課題名 A01-K1 | 海洋生物起源エアロゾル粒子の吸湿特性および雲凝結核能力の同時計測 |
研究代表者 | 持田 陸宏 | 名古屋大学 高等研究院 |
研究概要 |
西部北太平洋およびその周辺海域の高生物生産域では、海洋生物活動により大気中に放出される気体成分の光酸化反応がエアロゾル粒子(大気微粒子)の生成、成長をもたらし、その雲粒化は大気の放射収支や降水過程に影響していると考えられる。
本研究では、西部北太平洋およびその周辺海域における海洋生物起源エアロゾル粒子の生成および成長が、海洋上の雲過程にいかに関与しているのかを、粒子の吸湿性および雲凝結核能力、そして混合状態の測定に基づき評価する。
そして、得られた結果を海洋研究グループの観測結果(一次生産力、優勢種、気体成分フラックスなど)と照合してその関連性を考察し、モデル研究で評価すべき大気過程を提案する。
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研究課題名 A01-K2 | 海洋上低層大気中の過酸化水素・有機過酸化物の測定 |
研究代表者 | 畠山 史郎 | 東京農工大学 大学院共生科学技術研究院 |
研究概要 |
研究の目的 過酸化水素やCH3OOHは特にバックグラウンド大気中における光化学反応と密接に結びついている。
またこれらはSO2の酸化を促進して硫酸を生成する上でも重要な役割を果たしている。
他方、東シナ海域は、東アジア地域で放出される膨大な量の大気汚染物質が海洋表層へと輸送されている地域であり、輸送途上での化学変化は、OHラジカルやHO2ラジカルを担体とする大気中の光化学反応によっている。
低層大気中の上記ラジカル反応の直接的生成物である過酸化水素及び有機過酸化物を海洋表面の近くで測定し、その変動を輸送径路や発生源の違いによって解析し、さらに窒素酸化物や硫黄酸化物などの相互変換と組み合わせて解析することにより、大気と海洋表層での物質のやりとりに影響を及ぼすラジカル反応を明らかにすることを目的とする。
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研究課題名 A01-K3 | XAFS法による硫化ジメチル及びその酸化途上物質とエアロゾルとの相互作用の解明 |
研究代表者 | 高橋 嘉夫 | 広島大学 大学院理学研究科 |
研究分担者 | 清水 洋 | 広島大学 大学院理学研究科 |
研究概要 |
硫化ジメチル(DMS)は、プランクトンにより海洋表層で大量に発生し、大気中で様々なプロセスで酸化され硫酸エアロゾルになり、放射強制力に影響を与える。
硫酸エアロゾルは人為的な作用でも生成するが、DMS起源、つまり天然起源の硫酸エアロゾルも人為起源のそれと同レベルの量が生成すると考えられ、DMSの酸化による硫酸エアロゾルの生成過程の解明は、環境化学的に重要な研究テーマである。
DMSから硫酸への酸化プロセスには様々な経路があり非常に複雑であるが、いずれも気相中での反応が主要な研究対象となっている。
しかし、海洋表層には海塩を主とする様々なエアロゾルが存在しており、このエアロゾルがDMSの酸化過程にどのように関与しているかは重要な検討課題である。
そこで本研究では、エアロゾルに吸着されたイオウ化合物を直接同定できる手法として、X線吸収微細構造(XAFS法)に着目し、DMS関連物質のXAFS法による分析法を開発し、モデル実験系および天然系へ応用し、エアロゾル中でのDMS関連物質の同定を行うと共に、DMSの酸化へのエアロゾル相の寄与(不均一系での化学反応)を明らかにすることを目的とする。
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